【こんな症例も治ります シリーズ 343】 犬の指先にできた癌 も 適切な診断と治療でコントロールします

犬の指先に出来た、扁平上皮癌の骨の変化です(白くモヤモヤしたところ)

 

参照サイト:

https://bit.ly/2SzFxDD

犬 ドーベルマン 8歳 避妊雌

【 2ヶ月前から左前足の爪が折れていて、最近腫れ始めた 】との事で来院されました。

■ 診てみると、左前脚の第三指(人では中指にあたります)がパンパンに腫れ、先の爪の中身が完全に無くなっていました。

■ 足のレントゲンを取ると、腫れている指の骨周りがモヤモヤと白く(骨膜反応と呼びます)なっていました。

■ このようなレントゲンが撮れる指先の腫れの原因としては、

・怪我などによって起きた感染が原因で炎症を起こしている

・指先の癌である

の2つの可能性が主に考えられます。

■ まず、指先がジュクジュクしている状態だったので、そこの液体を採取し、細菌培養を行いました。

■ その結果に沿った抗生剤を短期間使用しましたが、症状の改善が見られなかったため、

腫れている部分に針を指し、細胞を採取する検査を行いました。

すると、「扁平上皮癌」を強く疑う細胞が多数採取されました。

■ 「扁平上皮癌」は、犬の爪にできる癌としては最も発生が多いもので、黒い毛色の大型犬に多いというのが特徴です。

体の他の場所に転移が起きる可能性はあまり高くなく、転移が無ければ指を切る手術により完全に治すことができます。

■ 今回は念には念を入れて、全身のCTを撮り、他の癌を含めた転移と考えられる所見がないかを調べました。

■ 結果、左側(癌のできた指と同じ側)の首のリンパ節がやや大きくなっていたため、念のためにこちらも切除し、癌細胞が転移していないかを組織ごと調べることにしました。

■ 手術で ①癌ができた指 と ②大きくなった首のリンパ節 を完全に取り除きました。

幸い、首のリンパ節に癌は転移していないことがわかりました。

■ 先日、術後1ヶ月の定期検診を行いましたが、転移と考えられるものは見つかりませんでした。

■ 今後も定期的にそのようなものが見られないかをチェックしていきます。

■ 爪が折れた!! そんな時、実はその裏に重大な病気が隠れていることがあります。

少しでもいつもと違うことがありましたら、お早めにご相談ください。

獣医師 田中聖心

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